研究会設立趣意書

国際カンカ研究会会長 村岡 修

国際カンカ研究会会長
村岡 修

カンカニクジュウヨウ(Cistanche tubulosa (Schrenk) R. Wight.その肉質茎をカンカと称する)は、タクラマカン砂漠等の砂漠地方に自生する紅柳の根部に寄生する多年生植物で、漢方調剤用の生薬ニクジュウヨウ(Cistanche salsa G. Beck)と同じハマウツボ科ニクジュウヨウ属に属する植物です。

ニクジュウヨウの肉質茎は『神農本草経』の上品に「肉従蓉」の名称で収載され、中国では歴代の補腎・滋養強壮の処方薬の中でも特に使用頻度の高い強壮薬として、臨床で広く応用されてきました。

平成16年の厚生労働省の食薬区分の改正によりカンカが食品として区分されるに至り、優れた薬効を有するニクジュウヨウと同等の効果が期待でき、さらには強い抗酸化作用を有するポリフェノール類を高濃度で含有するカンカに、高齢化社会を迎える日本における優れた健康食品の素材として注目が集まっております。カンカエキスは既に中国では認知症改善薬として認可されており、また国内では血管拡張作用を示す新規成分も見出されております。

一方、カンカには優れた効能が認められるだけではなく、その宿主の紅柳は砂漠地区における防風固砂対策に極めて適した樹種で、カンカの主産地である新彊ウイグル自治区ホータン政府は、砂漠化抑止と地域経済の振興策として紅柳の植林とカンカの人工栽培を奨励しております。

本研究会は、カンカの学術研究および会員相互の交流と、研究成果の積極的な利用による(1)天然物化学研究の発展、(2)国際学術交流の進展、およびカンカの普及を通して、(3)人々の健康の維持・増進と、(4)地球環境保護に寄与することを目的としております。できるだけ多くの有志に本趣旨にご賛同いただき、本研究会に参加していただきますよう宜しくお願い申し上げます。

2007年1月吉日

【発 起 人】
飯沼宗和 (岐阜薬科大学 教授)
小林資正 (大阪大学大学院 薬学研究科 教授)
新谷卓弘 (近畿大学東洋医学研究所 教授)
服部征雄 (富山大学和漢医薬総合研究所 教授)
馬場きみ江  (大阪薬科大学 教授)
松田秀秋     (近畿大学薬学部 教授)
◎村岡 修   (近畿大学薬学部・薬学総合研究所 教授)
吉川雅之 (京都薬科大学 教授)
張洪泉       (楊州大学医薬研究所 教授)
レナ・カスム (新疆医科大学薬学院 教授)
楊建華  (新疆医科大学付属医院 博士)
賈暁光  (新疆中薬民族薬研究所 所長)
黄利興  (和田帝辰沙生薬物開発有限公司 総監)
李 征  (株式会社栄進商事 代表取締役)
楊軍波  (和田帝辰沙生薬物開発有限公司 董事長)

◎ 発起人代表

※肩書きは設立(2007年1月)当時のもの